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GDPや物価上昇率といった経済指標は、経済政策の中間目標でしかありません。色々な政策を行なう「目的」は、あくまで「働きたい人に活躍の場を提供する」ことです。
この記事で示されている通り、「活躍の場の提供」という成果は間違いなく上がっています。この場をさらに広げるには、「意欲があるにもかかわらず、時間や勤務地に制限があるために働くことが難しい人」を支える環境づくりが必要です。
「長時間労働を評価しがちな文化」を変え、テレワークやフレックス勤務といった多様な働き方を可能にする環境を整えるよう企業側に求めていくと共に、ブラック労働で競争に勝ち抜く企業が出ないような「制度面からの規制」にも力を入れたいと思います。
「雇用、4年で250万人増 子育て女性働きやすく」(日本経済新聞)
参議院議員 中西けんじ(神奈川県選出)
今日の日経新聞の「アパート融資 過熱警戒」という問題は、国会で再三取り上げてきました。
3月の時点で「人口の減少が予想されている地方での融資の伸びの危険性」を指摘し、金融庁からは「個別の融資の健全性のみならず、ビジネスとしての持続可能性まで注視する」という踏み込んだ答弁がありました。
ただ「相続税対策を意図したアパート建設」の問題はさらに広がりを見せ、首都圏でも空室率が急激に上昇し始めたことから11月にも再度取り上げました。
「30年家賃が保証されていると誤認して、節税目的で借金までして貸家を建てて返済に困る事態」が、早くも現実のものとなろうとしています。将来的に金融機関の健全性を損ないかねません。
引きつづきこの問題に取り組んでいきます。
アパート融資 過熱警戒 金融庁、節税効果など調査 空室リスクに警鐘 (日経新聞)
参議院議員 中西けんじ(神奈川県選出)
全国で有効求人倍率が1を超え、失業率が大きく下がったことに加え、女性が働く機会が増えていることは大いに歓迎したいと思います。
しかし、働く女性の保育などのニーズを満たす施策をさらに充実しないと、依然として残っている「女性の就労のM字カーブ」は解消できません。また税制面からも、女性が就労制限などをせず働きつづけやすい環境を整備することが必要です。
経済政策の究極の目標は、あくまで「働きたい人に活躍の場を提供すること」です。
参議院議員 中西けんじ(神奈川県選出)
今日の日経朝刊「日曜に考える」は、「永田町インサイドー経営視点で新風」です。
熱弁をふるいつづけること30分超、、、、が、1分で読める長さに見事にまとまっています。そうしないと、わたしだけで一面全部を使ってしまいますから(笑)。
「政治に必要な人材は?」と言う問いに、「それぞれの分野の専門家が少ない、、、」と答えていますが、これは「政治家本人」に限った話ではありません。
専門性を持った人が、政治家をサポートするスタッフとして永田町にどんどん来てほしいと思います。
参議院議員 中西けんじ(神奈川県選出)
参議院議員 中西けんじ(神奈川県選出)
経済政策の究極の目的は、「働きたい人に活躍の場(職)を提供する」ことです。GDPや物価上昇率などといった指標は、中間目標や手段でしかありません。
97.3%と過去最高を記録した大卒就職率が、来春さらに2.8%も上昇するというのに「アベノミクスは失敗」と批判するのはおかしな話です。
「新卒一括採用」に関しては様々な批判がありますが、「若者の失業率を、諸外国と比べて著しく低く抑えている」というメリットもあります。むしろ「年金や人事評価で、中途採用者が不利にならない仕組み」を作っていくことが必要だと思います。
参議院議員 中西けんじ(神奈川県選出)
3月の財政金融委員会で取り上げた「不動産融資、特に賃貸住宅向け融資の増加問題」を、「借りる側」の視点から指摘した記事です。
相続税対策との事ですが、空室となっては目算が狂います。家賃保証付と言っても、「状況が悪化した場合に、果たして30年以上も同条件での家賃保証を続けられるものなのか?」と疑問を感じざるを得ません。
「首都圏では、特に神奈川県の空室率が高い」との指摘は、非常に気になります。
株や現金などと比べて、不動産(特に賃貸不動産)が有利となっている制度そのものを改善していくべきだと考えています。
実質賃金が、6カ月連続で前年を上回りました。
半年前、国会では「実質賃金が上がっていない」として、
そこで2月22日付の(中西の目ヂカラ)「雇用市場に現
もしあそこでブレて政策転換をしてしまっていたら、実質
まだ、名目賃金の上昇幅が2%を下回っており、満足でき
<働く人が増え、しかも正社員が増えました>
先週発表となった総務省の2015年労働力調査では、雇用者数が過去3年で130万人増えただけではなく、正社員の数が8年ぶりに増加に転じたことが明らかになりました。
しかも正社員が26万人増加したのに対して、非正規社員は18万人の増加に留まっています。働いていなかった女性や高齢者が正社員になる例も増えていました。増加数で正社員が非正規社員を上回るのは、じつに21年ぶりのことです。
さらに、「なぜ非正規社員になったのか?」と言う問いに、「自分の都合のよい時間に働きたいから」と回答した人が30万人増えたのに対して、「正社員の仕事がないから」と答えた人は16万人も減少していました。
働きたい人が働けるようになっただけではなく、正規・非正規といった多様な働き方を選べるようになってきていることは明らかです。雇用市場が、良好な状態に向かっていることは間違いありません。
<実質賃金が上がらないと困りますよね。だけど、、、>
一方、「実質賃金が下がり、実際に使えるおカネが減って貧しくなった。そのために、個人消費が伸びていない。いまの経済政策は間違っている」という批判があります。たしかに厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、2015年の実質賃金指数は、前年よりは改善したもののマイナス0.9%でした。
実質賃金というのは、皆さんが受け取る賃金(名目賃金)から物価の上昇分を差し引いたものです。
名目賃金が1%しか上がっていない時に物価が2%上がると、実質賃金は1%下がります。あくまで程度の問題ではありますが、「モノやサービスの値段が上がって、以前なら買えていたはずのものが買えなくなった」ことになります。インフレの悪いところです。
一方、名目賃金が2%下がっても、物価が3%下がってくれれば、実質賃金は1%上がります。「給料は減ったけど、以前よりたくさんのモノやサービスが買えるようになった」わけですから、喜ぶ人もいるかもしれません。デフレの良いところです。
この部分だけを切り取って考えると、たしかに「実質賃金を、いますぐ上げろ!下がったのはケシカラン!」という主張は正しいように聞こえます。
しかし、経済は、常に動きつづけている生き物です。短いあいだだけを輪切りにして判断してしまったのでは、一見正しそうな政策が「長期的にはとんでもないこと」を引き起こしかねません。
これから起きるさまざまな変化を、「時間を追って順々に考えていく」というのが経済学的なものの考え方です。俗にいう「風が吹けば桶屋が儲かる」という世界ですね。
逆にいえば、この思考ができないと経済政策を誤ってしまうことになります。
少しこみ入った話になるので、経済学でよく使われる需要曲線(赤)と供給曲線(緑)を使ってご説明します。縦軸が実質賃金、横軸が雇用者数です。
<現在>という矢印の指しているところに、いまの日本の雇用市場はあります。
左側の縦軸の「今の実質賃金」というところから水平に線を引く(………)と、「雇いますよ」という需要曲線(赤)とぶつかります。ここから下におろした線の指しているところが、「今、雇用されている人数」です。
先ほどの水平な線をさらに右にいく(………)と、「働きたいです」という供給曲線(緑)とぶつかります。ここから下におろした線が指しているところの人数だけ「今、働きたい人」がいます。
ただ、実際に雇ってもらえるのは、需要曲線(赤)から降りてきたところまでの人数だけです。この差が「失業者」となります。
失業とは、「働きたいのに働けない」ということです。しかも、失業することによって収入がとだえて経済的に困窮するだけでなく、「社会から疎外されている」と感じてしまいがちです。
その結果、非常に残念なことですが、精神的・肉体的に追いつめられて、自殺という手段を選ぶ人が増えてしまいました。日本の失業率と自殺率の相関関係は、OECD諸国の中でも際立って高くなっています。
従って、「失業者をどうやったら減らせるか」「この図の赤い矢印の方向にどうやって進むのか」ということを最も優先して考えなければなりません。
<我慢して回り道を>
現在の実質賃金の水準で、そのまま点線の上をわたって供給曲線(緑)に到達できれば一番良いのですがそうはいきません。点線の上は、あくまで空間です。右のほうにいきたければ、黄色い矢印が指し示すように「斜め右下方向」に需要曲線(赤)の上を動くことになります。
あくまで「下」ですから、「実質賃金が下がらないと、雇用者数が増える方向には行けない」というのが現実です。これを変えることは、誰にもできません。
では、どうしたら実質賃金は下がるのでしょうか?
先ほどご説明したように、実質賃金は(名目賃金)-(物価の変動)で決まります。
「実質賃金を下げろ」といわれて、まず思いつくのは「名目賃金を下げる」、つまり「賃金カット」でしょう。強欲な経営者が「給料を20%下げることにした!」と叫べば、たちどころに下がって、、、というほど話は簡単ではありません。
名目賃金は、経営者と労働者の交渉で決まります。「交渉」といっても、全員が実際に膝をつきあわせて丁々発止とやる訳ではありません。
「この賃金なら雇いたい」「この賃金なら働こう」という「労働市場での需要と供給から決まる」と考えたほうが自然です。アダム・スミスの「神の見えざる手」は、ちゃんと働いています。
この名目賃金というものは、あまり簡単に上がったり下がったりしません。特に日本では、毎週(週給)や毎日(日給)といった単位で給料が変動する労働者は極めて少数です。大多数の労働者は月給制ですし、しかも年間の支給額が大きく変動することはありません。
「20%下げるぞ」などと宣言したら、翌日の職場はカラになっていることでしょう。
つまり、「名目賃金は、そう簡単には下がらないし下げられない」というのが、本当の話です。
では、「物価を上げる」というのはどうでしょう?
これは何か非常に難しいこと、特に長い間デフレに苦しんだわが国にいると、とんでもなく大変なことのように思えます。
しかし、何らかの政策で「強引に名目賃金を変える」よりも、「金融政策によって物価水準を変えることで、実質賃金を動かす」というほうが世界の経済学や経済政策の世界では一般的です。
たとえば2013年1月に、政府と日銀は「+2%と言う目標を定めて物価を上げる」という共同宣言を発表しました。これは「実質賃金は一時的に下がるものの、まず失業者を減らす政策をとる」ことを示したものであると言い換えることができます。
その後の政策は、よく「異次元の」という形容詞をつけて紹介されますが、「デフレという名の異常事態からの脱却」という局面だったために「異次元の手段」が必要だっただけです。政策そのものは、ごく常識的な経済理論にのっとったものです。
「異次元」ではあっても、「異常」ではありません。
いま「物価が上昇したことで実質賃金が下がっている」のは、この右下がりの黄色い矢印の方向に日本経済が走りだしたということです。実質賃金は下がりましたが、冒頭にご紹介したとおり雇用者数は増加しています。
赤い矢印の方向に動いていることは、間違いありません。
<デフレへの逆回転は絶対に阻止>
現在の状態を、「実質賃金が下がって貧しくなった」と批判するのは簡単です。しかし、黄色い矢印の方向に行かなければ雇用者数は増加せず、130万もの人が失業したままだった可能性は否定できません。
いまはひとりでも多くの人が働けるようになるために、少し我慢をする時です。
きちんと現在の金融緩和政策をつづけていれば、「完全雇用」と書いた部分を通過し、右側の黄色い矢印が示す「右斜め上」に向かって供給曲線(緑)の上を動いていけるようになります。いよいよステージの転換です。
人手不足により名目賃金が上昇し、実質賃金が上がります。しかも、もらえる給料の額面が増えています。
「もらえる給料は減ったけど、物価はもっと下がっている。だから、実質的に豊かになって幸せだ」などという冷静沈着な計算のできる人が、世の中の多数派だとは思えません。やはり「金額が増えてハッピー」という人のほうが多いですから、消費が増えて経済の好循環が起きます。
しかも右方向に動いていますから、働くことができる人は増えつづけます。もう「社会から疎外された」などと、悲観する必要はありません。
1998年に3万人を超え「世界的にも高水準」と懸念されていた自殺者数は、過去5年連続して減少してきています。大規模な金融緩和に踏み切った2012年以降、減少幅が大きくなっていますが、これがさらに加速していくと期待できます。
実際の経済はこんな簡単な図よりも複雑ですから、まだ「完全雇用」と書いたところに到達しているかどうかはよく分かりません。
しかし、比較的名目賃金が変わりやすい「パートやアルバイトの時給」が、大幅に上がっているのはご存知のとおりです。首都圏のパートやアルバイトの平均時給は1000円を超えました。厚生労働省が先週発表した賃金構造基本統計調査では、女性の賃金が過去40年で最も高くなっています。
さらに総雇用者所得も増えていますから、働いている人全体が受けとる賃金の合計は増えつづけています。
総務省の調査によると、正社員を増やした会社は「人材流出を防ぐため」「採用を優位に進めるため」という理由をあげていました。つまり、「良い待遇を与えないと、働いてもらえなくなった」ということです。これは「完全雇用」状態に近づき、働く人たちの立場のほうが強くなったことに他なりません。
結論は明らかです。「物価が上がったことで実質賃金が下がり、生活が苦しくなった。金融緩和政策をやめて物価を下げろ」と言う主張は、経済政策論的に完全に間違っています。物価が下がったおかげで「実質賃金が上がった」と喜ぶことができるのは、失業する心配のない人達だけです。
もし、そんな経済政策をとってしまうと、この図の青い矢印のように「左斜め上」に動いていくことになります。たしかに実質賃金は上がりますが、多くの人が職を失い苦しむことになります。これこそが、デフレの害悪です。
今の流れを逆回転させてはいけません。